u1row's blog

作曲、演奏、読書、アプリ制作・・・、生きた証を日々更新

『つげ義春コレクション・紅い花/やなぎや主人/つげ義春』読了

旅にまつわる作品を集めたものだという。タイトルの「紅い花」のほか、いくつか知っているのがあった。​
いつ読んだのかわからないが、たぶん学生の時にどこかで目にしたんだろう。​
リアリズムの宿」というタイトルの作品もあるが、50年前の読者ならば感じたかもしれないリアリティは自分とはほぼ無縁だ。​
でも、リアリティとはちがってどこか懐かしい感じがして、知らないけれどもわかると思いながら読んだ。​
「知らないけどわかる」とは。​
難しいことをうまく説明しているのを聞けば「知らないけどわかる」と思うかもしれない。理路整然とした話にはこの言葉がしっくりくる。ただこの作品集はそういったものじゃない。この場合の「知らないけどわかる」というのは、個々のエピソードの根っこにある時代や場所の空気や著者自身の資質が、読者である自分の中にある経験やら感覚に呼応したものだろう。​
例えば、小さいころ近所の銭湯に出かけたときの記憶や、学生時代に過ごした京都でのいろいろな経験とか。​
ひなびた温泉街は知らないし、釣りやバイクや安宿やらも知らないが、何かしらのフィルターを通じて同じものを見聞きしたことがあるように思えた。​