u1row's blog

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『「他者」の起源/トニ・モリソン』読了

トニ・モリソンが2016年に行ったハーバード大学での連続講義をまとめたもの。
アメリカ合衆国における人種問題、アフリカン・アメリカンが抱える問題を、当事者であり、作家であり、大学教授でもあった著者が掘り下げ、えぐり込む。
最初の章ですでにこれは自分の手には負えないなと悟った。
著者とその作品についての知識がないだけでなく、初めからこの主題の外側に置かれてしまっている感覚に囚われてしまった。

決してここで語られている問題が自分に無関係だというのではない。
スミソニアンの数ある博物館の中で限られた半日という時間をどこで過ごすかというときに、迷うことなくアフリカン・アメリカン歴史文化博物館を選んだ自分(日本人)。
つまりそこそこの関心は持っていると自負しているのだが、それでもこの本(講義)が要求するハードルは高すぎた。
徒競走が好きな日本人の小学生がオリンピックの100m決勝のレーンに並んでしまっているような滑稽なほどのギャップ。

それでも読んだ甲斐はあったと思っている。
わからないなりに得た知識はあるし、とんでもない熱量を持ちそれを発散しながらも眼差しや語り口はどこまでも冷徹、という使命を自覚している人のオーラは翻訳された文章からであっても十分に伝わってきた。