u1row's blog

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『茶の本/岡倉覚三(天心)』読了

原文が英語であることから、想定する読み手は当時(1906)の欧米知識人なんだろう。茶そのものを論じるのでなく、茶に象徴される日本的、もしくは東洋的な価値観や美意識を説く。「説く」という言葉がしっくり来るくらい肩に力が入っている。そんなに力まなくても、と思うが、これが当時の少し目覚めた日本人に通底するトーンだったのかもしれない。

茶に反映される日本人の精神世界というテーマ自体はわかるが、そもそもわからないのは、茶は芸術なのか?ということ。茶器に工芸品としての価値がある、茶室に建築としての価値があるというのはわかるが、茶人が自分で茶器を作るわけじゃないし、自分で茶室を立てるわけじゃない。茶室については設計者として芸術的な貢献をしていると言えるのかもしれないが、発注者として要望を述べる程度だったかもしれない。

いじわるな言い方をすると、なにかを生み出しているわけじゃなく、飲んで食ってるだけじゃないかと。それとも、飲み食いの所作が茶を芸術たらしめるのか。そうすると、ダンス、舞踊と同ジャンルということになるのだろうか。

著者としては、日本人の文化度の高さを誇れれば、別にテーマは茶でなくてもよかったのかもしれない。もちろん、茶=Tea以上に東洋的なものをわかりやすく見せてくれる素材はそうそうないだろうとは思うが。