u1row's blog

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『クアトロ・ラガッツィ(下)/若桑みどり』読了

上下巻ともそこそこボリュームがあったが、ボリュームの圧よりも著者の熱量に圧倒された。
天正少年使節の4人のうち教皇グレゴリオ13世との謁見の場に導かれたのは、中浦ジュリアンを除く3名だったという。
一般には「中浦ジュリアンは病欠」と説明されるそうだが、実はある演出のためにどうしても1名を除く3名ではなければならなかったのではないかという著者。
それは日本すなわち極東からの使者を「東方三博士」になぞらえる演出で、これによって布教活動の成功を感動的に印象づけたのではないかという説だ。
中浦ジュリアンは4人の中では出自の点で劣るため、病気が事実であったにせよ、それを口実に外されたのかもしれないのだという。
その後、帰国した4人を待っていたのは激しいキリシタン迫害だった。
4人のうち千々石ミゲルは棄教。棄教して仏教徒になったわけでなく、おそらく無神論者になったのだと推測されるらしい。
ある意味現代的な感覚を持っていたのかもしれないという考察がおもしろい。
伊東マンショは病死、原マルティノマカオへ追放、教皇への謁見の機会から外された中浦ジュリアンは穴吊りの拷問ののちに殉教したという。
この4人に限らず、高山右近をはじめとする戦国大名イエズス会士、長崎の殉教者などなど、取り上げられた人物はことごとく実像がしっかり描かれていて、
ストーリー仕立ての小説だとここまでの重みは感じられないだろうなと思った。