u1row's blog

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『街場の戦争論/内田樹』読了

合気道の道場を主宰しているという著者。師と弟子の関係を、自らの師に向ける弟子としての自分の眼差しと、自らが師として弟子に対して向ける眼差しの両面から論じている章がおもしろかった。
身体性を精神性の対義語としてその下位に置くのではなく、両者を一体のものとする捉え方に親近感を覚える。
この親近感は、個人的な感覚や経験によるのではなく、ここに日本人らしさのようなものがあるという指摘になるほどと頷いた。

第3章までの、先の敗戦についての話もこの身体性の話に繋がってくる。
「日本人は何を失ったのかを自力では検証できないほど」に徹底的に負け、「臣民から国民への引き継ぎがなされていない」まま、70年以上の時が経ったのだと著者は言う。
この指摘が正しいとすると、日本人は全体としての身体性を失ったまま、観念的でバーチャルな存在として戦後を生きてきたことを意味するのかもしれない。
身体性と精神性を一体のものとする捉え方が、日本人のアイデンティティを支えるものの一つだとしたら、日本人としての身体性を取り戻すことが、日本人が実体を取り戻すための第一歩なのだろうか、なんてことを考えながら読了。