u1row's blog

作曲、演奏、読書、アプリ制作・・・、生きた証を日々更新

『戦争まで‐歴史を決めた交渉と日本の失敗 / 加藤陽子』読了

ここのところ本を読む時間が取れず、遅々として進まなかったが、ようやく読み終えた。
時間がかかったからといって、「つまらなかった」とか「難しすぎた」ということではない。
むしろその真逆で、毎日少しずつ読み進めるのが楽しみで読み終えるのが惜しいと思ったくらい。

28人の中高生への講義をベースにいて、日米開戦に至るまでの諸相をわかりやすく、時に聞き手(読み手)の想像力に訴えかけながら解説していく。
第4章の開戦前夜、日米交渉を担った野村とハルのやり取り、両国の思惑の変遷そして思惑に反して開戦にいたった経緯は、冷静な気持ちでは読めなかった。

歴史をネタにワクワク・ドキドキを醸成するのはある意味とても簡単で、いわゆる「俗説」を「歴史の裏事情とか真相」などと通ぶって語れば済むことだろう。
この本の凄さは、そういった類の「俗説」を史料に基づき一蹴しながら、俗説が醸す以上の面白さを提示してくれているところだと思う。
きっとこれが本当の意味で歴史を学ぶ面白さなんだろうな、と思いながら読んだ。

秀吉が、家康が、、、と戦国武将の野望や立身出世にロマンを抱くのも歴史のおもしろさなのかもしれないが、
「現在の社会」「いまの自分」を映す鏡としての歴史にもっと光があてられれば、歴史という学問自体の意義が変わり、「歴史が教えてくれる唯一の教訓は、人は歴史から学ばないということだ」という皮肉が意味をなさなくなるのではないかと思った。