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u1row's blog

作曲、演奏、読書、アプリ制作・・・、生きた証を日々更新

叔父さんの思い出

昨日食べたどら焼きで思い出した和菓子屋の叔父さんの思い出。
顔を合わせるのはせいぜい盆と正月くらいで、叔父さん自身と特に親しい付き合いがあったわけではない。
叔父さん宅には同年代のいとこ兄弟がいて、彼らと遊ぶのはいつも楽しみにしていた。
もうひとつ楽しみだったのが、食べ放題のまんじゅう。
テーブルにずらっと並んぶ羊羹やまんじゅう。
「なんぼでも食べや」という叔母さんの言葉に素直に従って気持ち悪くなるまで食べた。
桜餅と柏餅が食べられなくなってしまったのはそのせいで、いまでもこの2つは匂いすら受けつけない。

小学校低学年の頃だったか、叔父さんは和菓子がキライなんだと聞いた。
和菓子屋さんなのになんでキライなのか、子どもにとってはとても不思議だった。
しかも、キライだというのに、どこかに出かけた時には必ずその土地の和菓子屋でまんじゅうを買ってひと口だけ口に入れるのだとも聞いてさらに謎が深まった。
「好きで食べるのではなく、研究のために食べるのだ」という答えには、それまで触れたことのない世界を垣間見たような新鮮な驚きを感じた。

もうひとつ覚えているのは、高1の時のこと。
墓参りの帰りだっただろうか、親戚で田舎の小さな喫茶店に立ち寄ったことがあった。
「なんでも好きなもん選びや」と促されて、メニューの中でパッと目に入った「コーヒーゼリー」を注文した。
円すいを逆さにした小ぶりのガラスの器にコーヒーゼリーが盛られてクリームがトッピングされていた。
値段はたしか500、600円だったと思う。
見た目は涼しげで、クリームもたくさんのっていてこれを選んで正解だと思った。
ところが、運ばれてきたコーヒーゼリーを見た叔父さんは、でっかい声で、
「こんなもん、あれや、原価5円くらいやぞ」
と言って、コヒーゼリーを腐しはじめた。
運んできた店員は気まずそうにしているし、オレもどう反応したらいいのかわからず固まってしまった。
叔母さんが「そんなこと言わんでええやないの、好きなもん食べたらええねん。ごめんなあ」と言って場をとりなしてくれた。
叔父さんは、別に悪意があって言ったのではない、というかむしろ笑顔で、「ホンマのこと教えてやってんねん」くらいの様子だった。
「原価5円、そんなん食べたら損」
これが商売をする人の感覚かと、また衝撃に近い驚きを感じた。

和菓子屋の叔父さん思い出はこの2つ。あと亡くなって葬式に出た時のことも覚えているが、これはむしろ叔母さんについての思い出か。
たった2つだけれど、とても鮮烈な印象として記憶されている。