u1row's blog

作曲、演奏、読書、アプリ制作・・・、生きた証を日々更新

『明日の食卓/椰月 美智子』読了

「誰なんだ、どれなんだ」という冒頭のナゾ、手に汗にぎる展開、というとミステリー小説のようだが、何にはらはらしているのか、どうして冒頭のナゾが気になるのかと考えると、ミステリーの要素とは違ったところに反応しながら読んでいたように思う。
小学3年生の男の子を持つ3人の母親の視点で描かれる。きっと女性の目線で読むと、全然違ってくるのだと思うが、いち男性の感想として、母親目線の家庭あるいは家族なんて濃密で息苦しいんだろうと感じた。
ここに出てくる男性、すなわち父親であり夫たちは、浮気、逃避、暴力、そもそもいない、と悲惨な描かれ具合だが、残念ながらそれが、詳細な女性の描写と同じくらいリアルに感じられる。

男女の差といって短絡的にまとめられるものではないだろうが、いわゆる感情、感性の女性、論理、理性の男性というのは、だいぶ的はずれな感じがする。
ムリを承知で対比するなら、濃密で重い女性、薄くて軽い男性。濃密さの出どころは、思考が現実と結びついていることで、逆に男性の思考は目の前の現実とは無関係に飛躍しがち。こんな対比の方が自分としてはしっくりくる。
どちらが優れているというのではない。ただ家族という閉鎖的な共同体の中では、どうしたって両者のあいだに衝突やわだかまりが生じてしまうものなのかもしれない。

他人事ではない切実さは感じていても、言葉にまとめると他人事のようになってしまう。これも男性的な薄さと軽さからくるのかな?