u1row's blog

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『人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの / 松尾豊』読了

タイトルは「人工知能は人間を超えるか」となっているが、「ホーキング博士の警告」的な話を正面から扱ったものではなくて、人工知能(研究)の実情を素人にもわかりやすく解説しようという意図で書かれたものなんだと思う。

3月にAI戦略の本を読んだが、「戦略」「戦略的」という言葉が無意味に踊っているのが気になって、あんまり内容が頭に入ってこなかった。
「戦略」以外にも、「革新」とか「次世代(型)」とかという言葉が濫用され、何(どれ)が本当の「革新」「次世代(型)」がわからないじゃないかとも思った。
その点、この本はひと味違った。
人工知能研究の歴史を順を追って説明した上でいま起きつつあることを解説しているので、何がこれまでの延長線上つまり連続的で、何が非連続的なのかということがよく理解できる。

コンピューターが未知のものを識別し判断する際に、「対象のどの特徴に注目して情報を取り出すべきか」に関しては、これまで結局人間が設計しなければならなかった。
それがディープラーニング(特徴表現学習)において、コンピューターが自ら「どの特徴に注目すべきか」を学び、より精度の高い識別・判断ができるようになったのだという。
これを従来の機械学習の延長線上にある展開と見るのか、画期的なブレークスルーと見るのか。著者は後者だと考えている。
 
興味深かったのは、特徴表現学習では「自己符号化器」という情報圧縮器を使っているという話。
専門的なのでよく分からないが、入力と出力を同じにする手法だそうで、「答えは○○です」と正解の知識を教えるのではなく、「出てきたものは、入れたものと同じです」と教えるということなのかな?
さらに、この手法の精度を飛躍的に向上させるカギは、あえて誤った情報(ノイズ)を入力することで、これによってコンピューターの識別・判断はいっそうrobust(頑健)になるのだとか。
おいしいトマトはカラカラの土壌で育つという話が「美味しんぼ」にあったのを思い出した。