u1row's blog

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『売れるデザインのしくみ / ウジトモコ』読了

 
「センスよくしてね」「高級感を出してね」「〇〇業界っぽくして」などなど、著者のもとに寄せられるさまざまな「オーダーあるある」を織りまぜながら、デザイン戦略は本来どうあるべきなのかについて語った本。
目に見えないものを視覚化するための手法、ねらい通りの世界観(トーンアンドマナー)を表現するために注意すべき点など、実践的ですぐにでも試してみたくなることがたくさん書かれている。
しかも、その背景となる思想がしっかりと語られていて読み応え十分。

全体を通して感じたのは、デザイナーの仕事の核心はイメージの言語化だということ。
ロゴにしても、レイアウトにしても、配色にしても、一貫した体系の中に位置づけられなければならず、それが位置づけられていることの証は「言葉で説明できること」だと言っているように感じた。

この本で語られる言葉は、著者自身の経験や思考に基づいたもので、他所から拝借した言葉ではないというのが伝わってきて好感が持てる。
が、そのせいか言葉の選択が恣意的で、首をかしげたくなる箇所もあった。

例えば、
「角度(reach)を決める」
→reachは「角度」という意味にはならないだろう。
トップランナー(先駆者)か、それともパイオニア(創立者)か」
→「先駆者」というのは、pioneerの訳語だから、先駆者とパイオニアを対立させるのは適切じゃない。
など、他にも日本語の表現で気になる箇所がいくつもあった。

きっと、周りの誰よりも深くモノを考え、考えたことを言語化し、それに応じた実績を出してきた人なんだろう。
そのせいで、恣意的な言葉づかいを注意する人が周りにいないんじゃないだろうか、などと余計な心配が頭をよぎった。