u1row's blog

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『考えることの科学(推論の認知心理学への招待)/市川伸一』読了

普段の生活の中での様々な思考は、必ずしも論理にかなったものではない。形式論理に従っているわけではないし、確率や統計の論理に基づいているわけでもない。人が直観的に導き出す答えと、形式論理や確率の計算から出される解とどのくらいギャップがあるのか、またそのギャップの理由は何なのかという話。


取り上げられる事例問題がおもしろい。
印象に残ったのは「3囚人問題」
3人の囚人A、B、Cのうち、1人だけ恩赦になることが決まった。残りの2人は処刑。囚人Aが、結果を知っている看守に尋ねる。
「オレ以外のB、Cのうち処刑される一人を教えてくれ」
すると看守は、正直に「囚人Bは処刑される」と答えた。
この時点で、Aは「オレとCのどちらかは助かるということだから、オレが助かる確率は1/2になった」と喜んだ。
実際のところはどうか?
これをベイズの定理(事前確率(1/3)を考慮して、事後確率を導く)に基づいて計算すると、Aが助かる可能性は1/3のままなんだとか。


これは、思わせぶりな設問だなと思ったから、答えを聞いてもそんなに驚かなかったが、
次のように前提条件を変えてみる。
3人の罪の重さを考慮して、恩赦になる可能性を、A:1/4 B:1/4 C:1/2として、さっきと同じようにAが看守に尋ねる。
看守の答えはやはり「囚人Bが処刑される」。
このとき、囚人Aが助かる確率は?
直感的には、看守の情報を聞いても確率は変わらないので1/4。
ところが、これを同じように計算すると1/5に下がるのだとか。
Bが処刑されるという情報を聞くことによって、自分が助かる可能性が下がるというのが不思議(直観とのギャップ)。


もうひとつ
AとBがサイコロを振ってスゴロクをしている。Aは出た目の数だけ進む。Bは出た目の2倍の数だけ進む。20マス先のゴールに先に到達した方が勝ち。
1000回勝負すると、Aの勝ち数、負け数、引き分け数は?
進む数の比が1:2だから、勝敗の数の比も1:2、と考えてしまうのはheuristics(ヒューリスティックス)と呼ばれ、目につく数値やサンプルに引きづられたり、経験や知識に影響されたりして短絡的に答えを導き出してしまうこというらしい。
実際には、Aが勝つ回数は約15回、Bが勝つ回数が約940回、引きわけが約45回となるらしい。
これも直観と論理のギャップ。


最終章では、直観と論理のギャップの原因を考察していて、最後まで楽しめた。