u1row's blog

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『研究不正 / 黒木登志夫』読了

ストレートなタイトルに魅かれて読んでみた。
国内外の研究不正事例が豊富で、自身の研究者としての経験や人脈を生かした語りにはとても説得力があった。

日本人だけイニシャルトークになっている(例えばSTAP細胞の「HO」とか)ことに、ストレートなタイトルにそぐわない歯切れの悪さを一瞬感じたが、「あとがき」や「はしがき」ではなくて事例紹介の直前にイニシャルにする複数の理由を箇条書きで列挙しているところには誠実な姿勢が表れているように思った。

「日本人だけイニシャルトーク」という部分だけ切り取ると、ある種の差別だとか、国際感覚のなさとか、同胞びいきとか、同業びいき(著者は科学者)とか、難くせはいろいろと付けられそうだ。が、読み終えると、そういう非難はちっとも当たらないと感じる。
誠実さが文章、あるいは本全体から伝わるからだろう。
おそらく、著者には上述のような難くせも含めた他人の声に耳を傾ける準備があるように思われる。なぜそう思えるんだろう?
自分の言葉を客観的に、批判的に捉える訓練を積んでいるように感じられるということだろうか。
主張の力強さと、自分を変えられる柔軟性が同時に伝わってくる。
同じように感じたのは、雁屋哲氏の『美味しんぼ「鼻血問題」に答える』を読んだときだったな。

内容とは無関係な感想になった。
内容についても、勉強になったことがたくさんあった。それはまた別の機会に書き留めよう。