u1row's blog

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『蘇我氏の古代 / 吉村武彦』読了

久々に耳にするような単語がたくさん出てきた。
受験生の時以来、ほとんど目にすることがなかったということだろう。

印象に残った話
乙巳の変(645)は、その3年前に高句麗百済で起こった政変に少なからず影響を受けている。高句麗百済とでは政変の性質が異なるが、「中央集権化の過程では国王と貴族の衝突は避けられない」といった意識が形成された可能性があるらしい。
乙巳の変で、蘇我氏の宗家は絶えたが、傍系はその後も要職に就いた。壬申の乱を経て「石川」姓(蘇我倉山田石川麻呂に由来?)を名乗るようになって、奈良時代を通じて活躍した。
蘇我氏藤原氏はどちらも外戚の立場を利用して政治力を強めていった。藤原氏は蔭位制を貴族の再生産装置として運用し、個人ではなく一族の権勢を維持することに成功したが、蘇我氏の時代にはその環境が整っていなかった。


最後に「蘇我氏の時代は、日本の国のかたちを整えていく上で、人の一生における青年期の初期に例えることができるだろうか」と締められる。
このたとえのおかげで読後感が良い。本編にもこういう比喩がいくらかあるともっと面白かったかもしれない。
学問としての歴史は「史」料に基づいて論じられるものなのだろうが、歴史の面白味は「語り(narrative)」によって伝わるものじゃないかと思う。
一素人としては「語り(narrative)」にもっと比重を置いてほしかったなあ。