u1row's blog

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『ハイデガーの思想 / 木田元』読了

ナチスへの加担をとがめられた時の言い逃れ、居直り、黙秘が醜い。
抽象的な思考訓練を積むことと、政治的に冷静でいることとは別問題なのだろう。
存在と時間』は、上下巻の構想だったのが、刊行されたのは結局上巻のみだった。
下巻が書かれなかったのは、自らの構想を展開するための準備に何らかの欠陥が生じたからだと著者は言う。さらに、下巻が書かれなかったために、かえってその構想の大きさが読者に期待を抱かせ、多くのフォロワーを生んだとも言えるようだ。
ハイデガーの凄さは、古代ギリシャより哲学のテーマでありつづけた「である(本質存在・essence)」と「がある(事実存在・existence)」の区別、さらにどちらに優越性を認めるかという問題に向き合うための明確な視点を与えてくれるのではという期待を抱かせたところにあるらしい。
ハイデガー本人は、両存在の区別を超えることで、形而上学(哲学)を克服するところまで構想していたらしい。
人間は現在、過去、未来の時間軸上に自身を位置づけることによって、自らを存在するものと認識することができ、また世界が構成されるといった話が興味深かった。