u1row's blog

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『生き延びるためのラカン / 斎藤環』読了

「日本一わかりやすいラカン入門」を目指して書いたという著者。
たしかにわかりやすい。行き詰まることなくスラスラと読めた。だからと言って内容がつまらなかったり、浅かったりしたわけじゃなくて、むしろ読みごたえも十分。
 
とりわけ「現実界」「象徴界」「想像界」についての解説は丁寧かつ明快で、少なくともわかった気分になれた。
 
他に興味深かった話。
強迫神経症とヒステリーは対になっていて、前者は「自分は生きているのか死んでいるのか」という存在に対する問いかけ、後者は「自分は男なのか女なのか」という性別への問いかけなのだという。前者は男性、後者は女性に多い。一方、統合失調症は、言葉によって構造化された「象徴界」というシステムの不具合。文脈を見失い、心をひとまとまりに「統合」することができなくなるのだという。「世界没落体験」といって、今にも世界の終わりがやってきそうな恐怖を訴えるのも典型的な症例のひとつなのだとか。
 
フロイトユングの逸話や、著者自身のこぼれ話的なエピソードもいい塩梅で織り込まれていて楽しめた。