u1row's blog

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我に返る

池袋のコンビニ強盗未遂のニュースを見て、当事者には申し訳ないが思わず笑った。

 

「金を出せ」と店員にカッターを突き出す男性。
店員はネパール国籍の男性で、「なんで?」と質問。
「お金ないから」と答える犯人。
他の客が店に入って来て、何もとらずに犯人逃走。

 

何がおもしろいんだろう?と考えてみる。
強盗というのは、武器にたよったり暴力に訴えたりして他人を支配し自分の欲望に従わせようとする行為だから、その凶行に及ぶ時点で相手とのコミュニケーションは成立し得ない。
それなのにこの事件では、言葉の上ではコミュニケーションが成立している。
「お金をください」「なぜですか?」「お金がないからです」
コミュニケーションが断絶したはずの場面で、言葉のキャッチボールが成立しているのがおもしろいのかな。

 

さらに、店員が日本語ネイティブではなさそうだというのも深みを与えている。
「なんで?」という素朴で根源的な問い。
「なんでそんなことをするんですか?」だと、体裁は疑問文だが「そんなことはやめなさい」という非難や説諭のニュアンスを含まれるので、「うるせえ、ごちゃごちゃ言わずに出せ!」と返したかもしれない。
ところが、「金を出せ」に対して「なんで?」だけだと、「なんで金を出すんですか?」と素朴な問いになる。
その辺りのニュアンスは解せず、ただ「なんで?」という言葉しか出てこなかったのかもしれない。

 

いやひょっとしたら、この店員は、本当にある種哲学的な問いかけをしてみたくなったということもありうる。で、この哲学的な問いが、犯人の失っていた理性を起動させてしまい、律儀に「お金ないから」と答えさせたのかもしれない。

 

「なんで?」という問いには、理性や知性を起動させる力があるようだ。
学問の世界なんかで、ものごとを探求する時に「なんで?」という問いかけが大切だというのはよく聞くが、情に流されそうになったときや、衝動に突き動かされそうになったときに、ハッと我に返すというような効果もあるかもしれない。

 

それにしてもいろんなニュースがある中で、このささやかなニュースにアホみたいに何行も・・・「なんで?」

・・・いま我に返った。