u1row's blog

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『日本人の心を解く / 河合隼雄(河合俊雄訳)』読了

先月読んだ本にも出てきた明恵上人。

19の時から死ぬ前年の58歳のときまでずっと夢日記をつけていたらしい。
こないだ読んだ本では明恵の歌が紹介されていたが、ここでは明恵の生い立ちや宗教観について書かれている。
同じ人物のことをいろんなところで目にすると、その人物の像が立体的になる。


第3章の「日本の神話−神々の均衡」はめちゃめちゃ面白かった。
古事記に代表される日本の神話には主神がいない。
アマテラス、スサノヲ、ツクヨミのうち、アマテラスとスサノヲの間には葛藤がありドラマが展開されるが、ツクヨミにはほとんど出番が用意されていない。
ホデリ、ホスセリ、ホヲリのうち、ホデリは海幸彦、ホヲリは山幸彦。この2者間で物語が展開するが、ホスセリは何もしない。
日本の神話では、三者のうちの二者が対をなし均衡をとろうとし、残りの一神は何もしない、という基本構造が繰り返しでてくるのだという。
これを筆者は「中空構造」と読んでいる。
現代の日本人のメンタリティ、あるいは社会の成り立ちにもあてはめてみたくなるような魅惑のネーミング。
ただネーミングの妙をぬきにしても、説明に説得力があって、読んでいるうちに、
目に見えない真実や真理の探求よりも、目の前の関係性とその調和を重視しがちであるという日本人の傾向は神話の時代にまで遡る根深いものなのか、という気がしてきた。


最終章のテーマは「とりかえばや」
男女の役割を交換する話だとということくらいしか知らなかったが、巻末に物語の全容がまとめられていて、これが面白かった。
ありがちな設定?いやいや、なにしろ1000年前の作品だからなぁ。
でもひょっとしたら、ピラミッドの壁画かなんかに書かれている3000年前からの鉄板ネタかもしれない。

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