u1row's blog

作曲、演奏、読書、アプリ制作・・・、生きた証を日々更新

『数学的決断の技術 / 小島寛之』読了

昨日の新幹線で読了、その1。

第5章の「人はなぜ損をするとわかっていてギャンブルに参加するのか」の項がおもしろかった。
期待値基準だと損することが明白なのにギャンブルに賭けるのか。
「人は賞金額ではなく、それがもたらす「嬉しさ」を基準に判断している」と言い、これを「期待効用」というらしい。これは、以前感銘をうけたパスカルの「神の存在に賭ける」という発想にも通じる考え方だという。

 

もうひとつ興味深かったのは「絶対的真理と蓋然的真理」の話。
数学的論理で導かれた結論は絶対的真理だが、世の中で広く通用する「論理」は、数学的論理ばかりではない。
筆者が「風桶論理」と名づけているのは、いわゆる「風が吹けば桶屋が儲かる」という論理構造。
「AならばB」というのが、必ずしも厳密なものではなく、「もっともらしい」という程度のユルい結びつきを表す。
この場合、A→B→C→Dと連鎖が長くなればなるほど信憑性は低くなる。
○○評論家、とか○○アナリストとかという肩書きの人が、この風桶論理を多用するのだとか。

 

多くの人が求めているの「数学的に厳密な論理」ではなくて、「もっともらしい論理」で、それはストーリーと言い換えられるんじゃないか。
求められるのは、本当かどうかではなく、架空であっても「たしかにそうかもな」「たしかにありえるな」と思えるような話。
評論家やアナリストの語りも、突き詰めてみると「あるあるネタ」の一種でしかないのかもしれない。

 

www.amazon.co.jp