u1row's blog

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『人はなぜ歴史を偽造するのか / 長山靖生』読了

「実は義経は生きていた」というのは江戸時代より前からあり、何度も焼き直しされてきたという。中でも筋金入りだと思ったのは、イギリス人によって書かれたという「義経=チンギスハン」説の論文。

なんでイギリス人が?
実は末松謙澄という日本人が、ケンブリッジ大学に留学中にイギリス人を装って書いたもので、それをさらに別の日本人が誇張して和訳し、日本で発表したところ大反響を得たという。


南北朝正閏論とは、南北朝時代南朝北朝のどちらが正統であるかをめぐる論争のこと。世論は南朝びいき。それに乗じて自らを南朝直系の末裔と語り、天皇を自称した熊沢「天皇」。戦後になってもその思い込みは消えるどころか、いっそう強まりGHQに自分を擁立するよう売り込みにいったらしい。
最後(昭和35年)は共産党支持を表明。共産党員は大いに当惑した、というので電車の中で吹き出しそうになった。


歴史は物語とはちがう。ところが、人は歴史に物語性を求める。
一方、教える側の態度にも問題がある。歴史を通じて道徳的正しさや愛国心といったものを教えようとすると、「歴史そのもの」ではなく「あるべき歴史」を偽造していくことになる。
その点を指摘しているのは、まったくその通りだと思った。
これが書かれたのは1998年頃。その頃よりもさらに、ここに書かれているような歪曲や偽造というのは、いっそう押し進められているように思う。

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