u1row's blog

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『日本は世界第5位の農業大国 / 浅川芳裕』読了

食料自給率には「カロリーベースの自給率」と「生産額ベースの自給率」の2種類があるらしい。
よく言われる「約40%」というのは「カロリーベース」の方で、生産額ベースでは65%程度あるらしい。

筆者曰く「カロリーベースの自給率」というのは、日本でしか使われていない数値で、農水省が日本の自給率の低さをことさら印象づけるために使い続けている指標らしい。
「何のために?」という問いに対しては、「農水省の利権を保持するため」という持論が展開される。


鵜呑みにはできないにしても、「食の安全保障」についての見解はなるほどなと思った。


『食料危機を回避するには、輸入依存度の下げるのではなく、多様な調達源を確保することが重要だ。20世紀以降、大規模な飢饉が発生した原因は、単純な国内生産の減退や絶対量の不足よりも、購買力の大幅な減退や流通手段の遮断、市場メカニズムの破綻などだ』


たしかにリスク低減の基本は「分散・多様化」だから、「自給率を高める=純国産の比率を高める」というのは「分散・多様化」とは逆で、リスクを高めることになるかもしれない。
食料は、国土と人の手のコラボによって生み出されるもので、その歴史は文化そのものだという風に考えると、他のモノ、とくに工業製品などと同じ目線で「リスク低減のために多様な調達先を確保する」などと軽々しく言えないというところがあるのだろう。
でも情緒抜きで考えると、やっぱり「分散・多様性」志向に分があるように思う。


あと、農家の高齢化・農業人口の減少については、
『本当の課題は、生産者側でなく、顧客が高齢化し、人口が減ることにある。すなわり日本人全体の胃袋が縮小し、市場規模が縮小することで、さらなる消費減退が起こることが問題なのだ』とし、生産性の向上によってむしろ供給過多になる可能性の方が高いと述べられている。


たしかに、市場が抱える問題を論じる前に、供給者側の問題(都合)に目を向けると、本質的な問題の解決が先送りされることになりそうだ。
過剰な生産者保護を正当化する口実になっているのかもしれない。

 

http://www.amazon.co.jp/日本は世界5位の農業大国-大嘘だらけの食料自…/…/4062726386