u1row's blog

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『「しがらみ」を科学する / 山岸俊男』

社会とは「しがらみ」だという仮説をたてて、
社会のしくみをこれから社会に出ようとする若者に向けて解説する。

たとえや具体例で紹介される話がとても面白かった。
そのなかのひとつ、
「根岸の里のわび住まい」
は、電車の中で思わず吹き出しそうになって、うつむいて笑いをこらえるのが大変だった。

「根岸の里のわび住まい」
このフレーズをあとに続けると、なんでももっともらしい俳句になる。

初霜や、根岸の里のわび住まい
紅葉散る、根岸の里のわび住まい
さんま焼く、根岸の里のわび住まい

・・・で、なにが言いたいのかと、世の中にはこういう「もっともらしい」「共感をよびそうな」言説があふれていて、
人は簡単にそういう言説にだまされるという話。
例えば、未成年の若者が事件を起こすと、「若者の心の荒廃」みたいなことを言う。
これは「根岸の里のわび住まい」でつくった俳句と同じだと。

終盤は、世間あるいは社会では、「他人の思惑」に自分の行動が左右されるという話で、
「うん、そうだな」と思う反面、
どこかで聞いた話あるいは直感的に分かりそうな話に感じられて、少し尻すぼみな印象のまま終わってしまった。

昨日、今日と株価が乱高下していたが、
ビジネスや経済活動では、「他人の思惑」を読んだり・賭けたりし、
社会生活や家庭生活では、同じ組織(会社・家族など)を構成する「他人の思惑」に気を使ったり・一喜一憂したりする。

「自分らしく」なんてのは幻想で、「他人の思惑」こそが人間の動機づけであり行動基準なんじゃないか?
ここで一句
 他人(ひと)恋し、根岸の里のわび住まい

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