u1row's blog

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『ルー・サロメ 愛と生涯 / H.F.ペーター』読了

読了。
自己中を貫き通したルー・サロメ
自分自身にこだわり続けた結果、フロイトを師として自らサイコセラピストになる。
とても優秀なセラピストだったという。
自己中なのに?
いや、どこまでも自分自身に忠実に生きた人だったからこそ、
他のだれよりも他人の話に耳を傾ける人だったのだろう。

晩年の様子はとても感動した。
別に何かをしたわけでもなく、丸くなったわけでもなく、
最後まで自分を貫き通し亡くなった。

表面的な社会性は、他者との共感、秩序・道徳・宗教の遵守といったことで示すことができるだろうが、そういったものに縛られる人々は、結局他人とのつながっているという幻想に安心しきって、つながりの主体たる自分自身を見失ってしまうことがままあるのだろう。

ルー・サロメは秩序・道徳・宗教の枠の外にでた。
「Outsider = 悪」という偏見をまったく気に留めることなく、自分の枠あるいは境界線を見極めることに長い年月を費やしたのかなと思った。

本筋とはズレるが、ルー・サロメと愛人リルケとのやり取りで興味を持ったエピソード。

リルケがある小説の構想をルーに語ったところ、ルーが得意の精神分析で、「なぜリルケがその小説を書きたいと思ったか」本人も気づいていない深層心理を言い当てたところ、リルケはその小説を書く気を一瞬のうちに失ってしまった。

のちにルーは
「相手が芸術家の場合、精神分析が成功すれば、芸術家を悩ます悪魔から芸術家を解放することができますが、同時にかれの創造を助ける天使をも滅ぼしてしまうのです」と語ったらしい。
いろんな切り口で示唆的な話だ。

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