u1row's blog

作曲、演奏、読書、アプリ制作・・・、生きた証を日々更新

『私はブッシュの敵である / 辺見庸』

「反戦」「反差別」「反権力」
そこらの学生が言っても、言葉だけが上すべりしそうだが、
この人の言葉には、上すべりしない根っこがあり、
どこかで聞いた言葉、何度も聞いた言葉にも力強さを感じる。
一方で、あまりに視点が定まりすぎていて、冗長、偏屈と感じる部分もあった。

大学生の時、とある先輩にこんな質問をされた。

「永井君は、健康診断をどう思う?」

あまりに唐突で何を聞かれているのかさっぱりわからなかったが、
どうやら、毎年春に学生が受けることになっている健康診断のことを言っているらしい。

返答に窮していると、
「健康診断は受けなければいけないものか? それとも受ける権利があるのか?」
と少し噛み砕いて説明してくれた。
そんなこと考えたことがなかった。
「健康診断がいついつあります」と言われれば、「そうですか」で終わり。

その先輩曰く、
「健康診断は学生を管理する手段のひとつだ」と。

健康診断そのものは、受診者にとって益となる。
仮に思わしくない結果が出ても、それは診断のおかげで早期発見できるわけで、
受ける側としてはそれを拒む理由はない。

しかし、大学側は、そういう風に「学生のため」を装って、学生をシステムへの取り込んでいく、つまり管理していくのだ、
ということを言いたかったらしい。

その話を聞いたときの正直な気持ちは、
「なるほど」が50%、「こいつアホか」が50%

知らないうちに何らかのシステムに取り込まれ、その一部となってすり減っていくことのむなしさ。
そのシステムが暴走する時、自分もその一部として無批判のうちに暴走に追随する恐ろしさ。

これを避けるためには、健康診断にすら疑いの目を向ける批判的精神が必要なのかもしれない。
でも、「だから健康診断は受けない!」てのは、ちょっと路線がちがうんじゃ・・・という気もする。

辺見庸さんの文章を読んでいると、
「だからオレは健康診断は受けないんだ!」
と力説されているようで、「なるほど」半分、「ついていけない」半分・・・でした。