u1row's blog

作曲、演奏、読書、アプリ制作・・・、生きた証を日々更新

『ミケランジェロの生涯 / ロマン・ロラン』

「いつ完成するのか」とイラついた口調で尋ねる法王に

「できます時に」と答えたというエピソードはどこかで聞いたことがあった。

このエピソード自体は事実のようだが、
このやりとりから勝手に想像していた、権威に屈しない意志の強さと、自分の才能と技術に対する揺らぎない自信を持つ
肉体的にも精神的にも屈強な人物像とはかなり違った人物だったらしい。

上記のエピソードは、ミケランジェロの芸術に身を捧げる情熱と、すべて自分の手で完成させないと気がすまない固執癖を示すものとして描かれていた。
たしかに創作に傾けられる情熱は一途で、信仰心も並々ならないものだったようだが、
金の工面、親類や弟子との関係など、世俗的な悩みは尽きず、
そういった悩みに対しては、ブレまくり。
「ぜったいに受け取らない」と断った給料を、あとになって「やっぱりください、お願いします」と哀願することもあったらしい。
晩年は貧しさ、孤独、肉体の衰えなどから、猜疑心がいっそう高まり、ひたすら死を待ちわびるような日々を過ごしたという。

芸術作品とその作者の人となりを結びつけすぎると、実像とはかけ離れた人物像ができ上がってしまう。
ミケランジェロに関しては、作品に映し出されているのは才能だけだったのかもしれない。

そもそもミケランジェロに限らず、作品に映し出されるのは、才能と技術であって、作品の中に人となりを見いだそうとすると裏切られることの方が多いのかもしれない・・・というようなことを思った。

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