u1row's blog

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ザビエルとその弟子 / 加賀乙彦

今日読んだ本
『ザビエルとその弟子 / 加賀乙彦

「以後よく(1549)広まるキリスト教」のフランシスコ・ザビエルとは一体どんな人だったのか。
史実と著者の想像力によってつづられた本書。
なるほどたしかにこういう人物だったのかもしれないと思いながら読んだ。

自分が正しいと思う信仰を日本、そして中国に広めたいと思う一途な宣教師。意志と情熱は周りの人を引きつけ、巻き込み、大きな力となる。巻き込まれた人たちは、疑問や一抹の不安を感じつつも、
ある者は、彼の意志や情熱に水を差すまいと、疑問を口にせずに胸に内におしとどめ、
ある者は、情熱だけでは突き進む彼の姿に、それはあまりにも愚かだと(彼に背く罪悪感をかき消すためでもあるが)陰口をたたく。

アンジロウの亡霊が現れ、死期の迫ったザビエルに本音を吐露する場面は、著者の想像力が生み出した本著のハイライトだろう。
ここをどんな風に読むのかは、読者によってそれぞれだと思う。オレはここで、信仰心や情熱や意志といった精神的な世界の中で自己完結している人間と、そういった者への畏怖を抱きつつ世俗の生活を捨ない、あるいは世俗的な感覚を失っていない人間とのギャップが描かれているように感じた。

前者は後者を引きつけてやまないが、はたして真理というものがあるとして、その真理は前者にのみ近づくことのできるものなのか?後者がもつ、疑問や不安、時には卑屈とさえ言える感情からも、真理が透けて見える可能性はないのかな?
なんてことを考えた。

http://www.amazon.co.jp/ザビエルとその弟子-講談社文庫-加賀-乙彦/dp/406275939X