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リアル・キューバ音楽 / ペドロ・パージェ 大金とおる

日本在住のキューバミュージシャン、ペドロ・パージェ氏の半生を綴った自叙伝的な内容だが、単なる個人史に収まらないところが面白い。

ペドロ氏が、見聞きし自ら経験してきたことが、キューバ音楽の奥深い部分とつながっていて、種々のエピソードから、キューバ音楽、キューバという国、社会制度、国民性が透けて見える。

日本人である自分が半生を綴ったとしても、個人史以上の何かになりうるだろうか?
個人を超えたものに根ざしている、もしくは共有している感じは、うらやましくもあり壁を感じる部分でもある。

ただ、もっともひかれたのは、
ペドロ氏がキューバ音楽の本質的な部分はキューバ人だけが持つものではなく、才能+学習や訓練によって獲得するものだと語っている点。

各章末におかれたコラムでは、キューバの歴史や社会制度についてわかりやすく解説されている。
おそらく教科書やマスメディアでは、これだけ詳しく、しかもわかりやすくキューバの歴史や内情を知ることはできないだろう。

そこで紹介されるキューバの音楽教育制度は、まさにペドロ氏が言う「才能のある者が、訓練によって能力を磨く」というエリート教育のことが書かれていて、陽気なラテン気質のミュージシャンが、ノリと勢いだけでテキトーに演奏する、というのとは全く違う。
自国・他国の伝統を訓練によって身につけ奏でるというプロフェッショナルな世界だということがわかった。

そもそもはローカルな音楽スタイルが、グローバルなものとして開かれる可能性があるとすれば、その音楽スタイルに「学習と訓練」を受け入れる土壌があるかどうかで決まるのだろうと思った。

http://www.amazon.co.jp/リアル・キューバ音楽-〜キューバ人が教える人生の楽しみ方〜-ペドロ・バージェ/dp/4636848071