u1row's blog

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「オレ」「ぼく」「私」

ちょっと前の記事なんだけど、ワシントンDCにある、キング牧師(Dr. Martin Luther King Jr.)の巨大な石碑の話。

この巨像の側面には、キング牧師の言葉が刻まれているらしい。

I was a drum major for justice, peace and righteousness.
「私は、正義、平和、公正さの楽隊長だった。」

実は、これは正確な引用ではなくて、正しくは、

If you want to say that I was a drum major, say that I was a drum major for justice. Say that I was a drum major for peace. I was a drum major for righteousness. 
「もしみなさんが、わたしのことを楽隊長と呼びたいなら、私は正義の楽隊長だったといってほしい、平和の楽隊長だったといってほしい。私は公正さの楽隊長だったのです。」

石像に刻まれた引用は、If you want to say ~ の部分が省かれたせいで、「謙虚なキング牧師が、とても尊大な発言をしているように見える」と言って訂正を求める声があがったらしい。

言葉のニュアンスによって聞き手・読み手の印象が正反対になってしまうのは、日本語に限ったことではなくて、どんな言語にもあてはまるんだね。
でも、ニュアンスの表現は日本語の方が多彩なんじゃないかな?

例えば、このキング牧師の引用も、表現そのものではなくて、If you 〜 って言葉を添えることによって、彼の謙虚さが伝わるわけだけど、日本語だったら、一人称を変えるだけで、謙虚な発言にも、尊大な発言にもなる。

「オレは、楽隊長だ」ー 尊大
「わたしは、楽隊長である」ー 威厳
「ぼく、楽隊長」ー お子ちゃま
「オラ、楽隊長」ー 悟空
「吾輩は、楽隊長である」ー 漱石
「拙者は、楽隊長でござる」ー 時代劇

そういえば、雑誌とかで見るインタビューの翻訳って、けっこう恣意的だよね。
英語なら、みんな自分のことは "I"って言ってるはずだけど、
雰囲気で「オレ」って訳したり「ぼく」って訳したりしてる。

キング牧師なら「私」だよね。
I have a dream. が「オイラには夢がある」だと、
やっぱ拍子抜けするね。

http://newsfeed.time.com/2012/01/14/martin-luther-king-jr-memorial-drum-major-quote-to-be-corrected/